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甘粕屋

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【同人誌の思い出その3】 J.Garden31 新刊の装丁レポート

『おひとよし』同人誌の記録に続いて、同人誌の思い出第三弾です。

 ただいま「ムーンライトノベルズ」にて連載中の小説『つづれ刺せこおろぎ』ですが、これは『おひとよし』の続編でして、連載が終わると同時(?)に同人誌を作りました。その頃、同人誌即売会のイベントに出るのがマイブームだったのですね。今はもうそんな元気がありませんが……。

 でも、機会があればもう一度参加してみたいと思っております。ただ、同人誌仲間とかお友達がぜんぜんいないので、スペースに閑古鳥が鳴くのが寂しくて、なかなか参加するのも勇気がいるのですよね。でも同人誌作りは本当に大好きなので、できれば来年あたりから再開したいなあと思います。がんばるぞ。

 以下、旧サイト運営時に掲載していたコラムの転載です。
 『つづれ刺せこおろぎ』の同人誌を作るにあたり、印刷所に発注する装丁デザインを考えたり、オビを作ったりと、我ながら本当に楽しそうで微笑ましい限りです。生温い目で見守っていただけましたら幸いです。




2011年10月9日に開催されるオリジナルJUNE系同人誌即売会「J.GARDEN31(http://www.jgarden.jp/)」に参加いたします。

新刊はつい先日まで連載していた『つづれ刺せこおろぎ』です。

今回はちょっとミステリー……調? ということで、
色は「赤」だなー!
というイメージがありました。
『おひとよし』、『灰かぶり姫』までは透がメインだったので、ちょっと若い感じに、きらきらしたイメージで 作っていたのですが、今回の主人公は五十代。しかもおじさんです。
きらきらしたら怒られそうです。

ということで今回はぐっと渋い感じに、
タイトルの『つづれ刺せこおろぎ』にもちなんで
布目調の紅い紙を選んでみました。



「タント-セレクトTS-1」という紙です。
タントというのはイタリア語で「たくさん」という意味だそうですが、とにかく色数が豊富。百色あるそうです。
セレクトシリーズというのはタントの風合いのバリエーションで、TS−1はキャンバス調です。

ちなみに『つづれ刺せこおろぎ』っていうのは晩夏から秋にかけて鳴くふつうのコオロギなんだそうですが、
昔の人がその鳴き声を「肩刺せ裾(すそ)刺せ綴れ刺せ」と着物の手入れをうながしていると空耳アワーして そういう名前がついたそうです。

でもなんか、小説の内容とあまり関係ないのでは…?
と突っ込まれてしまうと痛いのですが、
今回はコスチュームも…浴衣とかドレスとか…とくに最後には赤い感じになるので、
まあ布であってるかな! と思いました。

すっごく赤いです。赤いですよー。



この真っ赤な紙に、おなじく赤い箔でタイトルがのります。
赤に赤箔!
正気ですか……という声が聞こえて来そうですが(汗)、
もう何て言うか、「やってみたかった」としか言いようがないです(滝汗)

黒い紙に黒い箔押し、というのは本屋さんでも結構よく見かけます。
ダークな感じで、ぐっと格調が高くなって、とにかくカッコいいんですよね。

それだったら、赤に赤箔だったら……?
みたことない!
それだけでもうやってみたくなります(汗)

でも見かけない……ということは、イケてないからだれもやらないのでは……?
たったいまそんな衝撃の事実に気づいてしまいました。
でももう発注してしまった!
これは運を天にまかせるしかありません。

 


(上の写真、左が箔の見本で、右側の画像が赤い箔の原稿です。)

黒に赤い箔ならけっこうよくみかけるんですけどね。
カッコいいです。カッコよすぎて、なんかちょっとちがうんですね。
赤い箔でカッコよかったなあという本は最近で言うと
東野圭吾さんの『麒麟の翼』です。
でこぼこのエンボス模様の入った紙に赤い箔がのっていて、箔の部分がきらきらしたエンボス模様になっています。
今回えらんだタントセレクトTS−1も布目模様が入っていますので、
箔の部分がおもしろい具合になってくれないかなあ……と妄想しています。

とはいえ、これだけだと中身がなんにもわからない!
ということで、オビもつくってみましたよー。




これは、きらきらさせてしまいました。
やっぱりどこかきらきらしたい。
そしてつつじの写真は作中に出てくるイメージです。

オビの紙は「きらびきーT」というのをえらんでみました。
「T」というのはタントのTです。タントっていうのは統一してみました。
きらびきっていうのは、ようするに「きら(雲母)」を紙にひいてあるんですね。
雲母っていうのは鉱物の一種で、日本画とかでも使われますが、かなりきらきらします。
これも本屋さんで使ってあるのを見て、すごいインパクトなんで一目惚れしたものです。

タントをもとに作られている紙だけあって、色数が豊富なんですね…しかもおんなじような色がいっぱい(汗)
上の写真は見本ですが、しろがね、シルバー、銀ねず、しもねずみ、うすねず……みんななんとなくうっすら灰色っぽいナニかなのですね。えらぶの難しい。



とはいえ今回は小説の冒頭で新聞記事っぽくしたので、どこか灰色っぽくしたい!
というのがありました。白だとつつじのピンクがはっきり発色してきれいなのですが、
カバーが赤なのでめでたくなってしまうのですね。

さいわい、全色見本を手に入れることができたので、デザイン案出しがてら出力してみました。



あーでもないこーでもないした結果、「うすねず」にすることにしました。
とまあ、こんな感じで、今回の本は「赤い」です!
そして、つつじがきらっきらしています!!
結局きらきらしてしまいました。
赤い箔もきらっとしてくれるといいなと思います。合掌。


それと、本文印刷なのですが、
今回はおもいきり「新聞」を意識して孔版印刷に挑戦してみました。
コストが安いというのもあります(汗)

あと、『灰かぶり姫』でちょっと本文用紙が厚くてめくりにくい硬い本になってしまったので、
今回はそれも反省しまして、めくり感のすばらしいシフォンクリームという紙をつかっています。
目にもやさしいクリーム色です。
製紙会社によると、ノスタルジックな夕暮れをイメージさせる紙で、せつない恋愛小説にぴったりだそうです。たしか。
とってもとってもたのしみです。

当日、新刊ができていますように!

それでは、ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました!


(2011年10月9日の、旧サイトに掲載していた記事を転載しています)
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